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【不動産投資を見極める5つの視点|第4回】融資が通った物件なら安心?銀行融資と投資採算は別問題

2 日前
読了時間: 5分

銀行から6,000万円の融資が受けられたら、「7,300万円の物件を買っても大丈夫」と判断してよいでしょうか。


金融機関は返済可能性や担保、本人の収入・資産を確認します。一方、投資家が考えるべきなのは、家賃から経費を差し引いた現金で返済を続けられるか、悪化した場合にも保有できるかです。


この記事のポイント|1分で分かる


04 今回のモデル

取得費7,300万円・借入6,000万円、金利2.45%

CF 税引前の手残り

年間約163万円(収支が続くと仮定)

会計 帳簿上の損失

約480万円。税務上の損益通算と別


目次











1.結論|融資可能額と買うべき金額は違う


今回のモデルでは取得費7,300万円に対して借入6,000万円、借入割合は約82%です。差額の自己資金相当額は約1,300万円。ただし取得諸費用や予備資金も別途考える必要があります。


金融機関から借りられることは、購入後の利益を保証するものではありません。物件が生み出す収支を、本人の給与や他の資産とは分けて検証します。



2.返済前の現金と、返済額を比べる


取得費 7,300万円

借入6,000万円、単純差額の自己資金約1,300万円。諸費用等は別途確認

借入条件 年2.45%・30年・元利均等

月返済約23.6万円

賃料+更新料 約547万円/年

賃料約536万円、更新料等約12万円

その他収入 約1万円/年

総収入約548万円

運営の現金経費 約102万円/年

管理・修繕・租税公課・水道光熱・広告等

元利返済 約283万円/年

初年度利息約145万円+元本約137万円

税引前の手残り 約163万円/年

その他の設備更新・所得税・購入諸費用等は別


年間の賃貸収入約547万円とその他収入約1万円から、運営の現金経費約102万円を引くと、借入返済前の現金は約446万円です。


年間の元利返済は約283万円。単純に割り算すると、返済前の現金が返済額の約1.58倍あります。これはあくまで説明用の簡易的な返済余裕度で、正式な金融機関のDSCRとは費用範囲などが異なる場合があります。


税引前の現金手残りは約163万円です。購入年の借入条件とその年の経費が同じなら、これが一つの出発点になります。



3.元利均等返済の中身を把握する


6,000万円を年2.45%、30年元利均等で返すと、毎月約23.6万円、年間約283万円の返済です。


初年度の内訳は利息約145万円、元本約137万円です。元本が減ることは資産形成に寄与しますが、その分の現金も毎年出ていきます。


元本返済は通常、税務上の必要経費になりません。「帳簿の赤字が大きいから返済負担も軽い」という考え方は誤りです。



4.金利や家賃の前提を変えるとどうなるか


年2.45% 年間返済約283万円

税引前手残り約163万円

年3.45% 年間返済約321万円

同じ当初借入6,000万円・30年で再計算。手残り約125万円

3.45%+家賃1割減 手残り約70万円

収入以外の経費を据え置き

さらに追加修繕100万円 手残り約▲30万円

契約の金利見直し方法に一致するとは限らない


同じ6,000万円・30年で、当初から金利が3.45%だったとする別条件を置けば、年間の返済は約321万円です。ほかの条件が同じなら、税引前の手残りは約125万円に減ります。


さらに賃貸収入が1割減ると約70万円の手残りになります。そこで100万円の追加修繕が必要なら、約30万円の持ち出しです。


※金利3.45%の例は、借入当初から全期間の金利を3.45%と置いた試算で、現在の変動金利契約の返済額が直ちにこの金額になることを示すものではありません。



5.どこまで悪化しても保有できるか


年間約163万円の手残りがあるなら、すぐに危険な投資だとは言えません。ただし、その余裕から追加の設備更新や家計の不足分を賄わなければならないことがあります。


年間キャッシュフローが一時的に赤字になる場合、その期間と必要額をあらかじめ把握しておくことが重要です。預金や給与で補えるとしても、補えることが投資採算を保証するわけではありません。



6.銀行・不動産会社・会計税務の役割


融資条件は金融機関、家賃相場と空室リスクは管理会社、修繕費は建築・設備の専門家に確認します。


税理士・公認会計士は、返済計画と税額を分けて試算し、保有中の資金繰りと売却を含む収支を比較することができます。



7.融資が通っても購入を見送る場合


修繕費が分からない、想定家賃が高すぎる、家計の予備資金を使い切る、売却時の残債を処理できない。こうした場合、融資が可能でも購入を保留・見送りする判断は合理的です。



8.まとめ|借入金の大きさより継続可能性を見る


このモデルの年間返済約283万円に対し、借入返済前の現金は約446万円です。しかし、金利・家賃・修繕の条件は変わり得ます。


融資を受けられるかではなく、どんな条件なら保有し続けられるか。 その視点で投資判断を考えることが大切です。



ご相談・関連サービス



監修者 月方智彦(公認会計士・税理士)

監修者

月方 智彦

公認会計士・税理士


公認会計士・税理士として税務・会計の実務に携わり、事業経営や不動産保有の当事者としての経験も持つ。企業経営者や不動産オーナーの税務・財務・相続を横断して考え、必要に応じて各分野の専門家と連携した支援を重視している。


専門分野:法人・不動産税務/相続・贈与/財務・資金繰り/事業承継

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シリーズ記事|全5回の目次


このシリーズでは、取得費7,300万円・借入6,000万円の共通モデルを使い、投資判断を5つの視点から解説します。




第4回|融資が通った物件なら安心?銀行融資と投資採算は別問題



※この数値例は収入・経費・減価償却費等を一定の条件で置いた参考モデルです。借入の元利返済と初年度利息は年2.45%・30年元利均等で別途試算しています。取得諸費用、将来の修繕、土地・建物の内訳、申告上の適用要件や実際の税金等により、結果は変わります。


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