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【不動産投資を見極める5つの視点|第1回】不動産投資が怖いのはなぜ?購入前に確認すべきリスクと判断基準

3 日前
読了時間: 6分

「不動産投資が怖い」。その理由は、借金の大きさだけではありません。空室になっても返済は続き、修繕が必要になれば一度に大きな現金が出ていきます。ただ、漠然とした不安も、数字に分けると判断しやすくなります。


今回は取得費7,300万円、借入6,000万円、金利2.45%・30年元利均等返済という条件で、実際の収支項目を基に丸めたモデルを使います。「買った方がよい」という結論を先に置かず、どこまでのリスクに対応できるかを考えます。


この記事のポイント|1分で分かる


01 今回のモデル

取得費7,300万円・借入6,000万円、金利2.45%

CF 税引前の手残り

年間約163万円(収支が続くと仮定)

会計 帳簿上の損失

約480万円。税務上の損益通算と別


目次










1.まず収益と借入条件を一枚に並べる


年間の賃料約536万円と更新料等約12万円を合わせ、賃貸収入は約547万円。その他収入を含む総収入は約548万円です。管理費、修繕費、固定資産税等の現金経費は年間約102万円を見込みます。


借入6,000万円を年2.45%・30年の元利均等で返すと、月返済は約23.6万円、年間約283万円。うち初年度の利息は約145万円、元本返済は約137万円です。自己資金相当額は取得費と借入の単純差額で約1,300万円ですが、取得諸費用・運転資金は別途確認が必要です。


取得費 7,300万円

借入6,000万円、単純差額の自己資金約1,300万円。諸費用等は別途確認

借入条件 年2.45%・30年・元利均等

月返済約23.6万円

賃料+更新料 約547万円/年

賃料約536万円、更新料等約12万円

その他収入 約1万円/年

総収入約548万円

運営の現金経費 約102万円/年

管理・修繕・租税公課・水道光熱・広告等

元利返済 約283万円/年

初年度利息約145万円+元本約137万円

税引前の手残り 約163万円/年

その他の設備更新・所得税・購入諸費用等は別



2.表面利回り約7.5%と、現金の手残り約163万円


年間賃貸収入約547万円を取得費7,300万円で割ると、表面利回りは約7.5%です。


一方、総収入約548万円から年間現金経費約102万円と元利返済約283万円を差し引くと、税引前の現金手残りは約163万円です。表面利回りだけでは、実際にどれだけ現金が残るか分かりません。


さらに、償却費が大きい場合は帳簿上の損益と現金の手残りが一致しません。このケースでは減価償却費約762万円と長期前払費用償却約19万円をモデルに入れると、帳簿上は約480万円の損失になります。赤字の全額を給与所得から通算できると決まったわけではありません。



3.購入前に確認したい6つのリスク


01|空室と家賃の変化


家賃収入が1割減れば、ほかの条件が同じなら手残りは約109万円。2割減ると約54万円です。更新料は年によって変動するため、契約家賃、更新予定、募集家賃を分けて確認します。


02|大規模修繕・設備更新


通常の修繕費が年間約23万円であっても、大規模工事が同額で済むとは限りません。追加で200万円の修繕が必要になる年なら、手残りは約37万円のマイナスに転じます。


03|借入の返済条件


金利や返済方法、借入期間が変われば、返済額も変わります。6,000万円を同じ30年で借りる条件で金利を3.45%と置き直すと、年間返済は約321万円となり、手残りは約125万円まで減ります。既存契約がそのまま改定されるという意味ではありません。


04|税金と現金収支の違い


減価償却で会計上の赤字が出ても、ローン元金返済は毎年続きます。減価償却費が減れば税負担が増える可能性もあるため、初年度だけでなく数年先を見ます。


05|売却価格と残債


将来、希望価格で売れるとは限りません。売却額から借入残高、売却費用、譲渡所得に関する税金を差し引いた金額が、最終的な手残りです。


06|家計からの持ち出し余力


表面上黒字でも、空室と修繕が重なる年には給与や貯蓄で補う必要があるかもしれません。手元資金や家族の支出予定と合わせて判断します。



4.利益が出ていても、厳しいケースを作ってみる


通常 +約163万円/年

賃料等約547万円、運営費約102万円、返済約283万円

賃料等が1割減 +約109万円/年

経費・返済は同額と仮定

賃料等が2割減 +約54万円/年

入居状況等の悪化を想定

追加修繕200万円 ▲約37万円/年

通常収支に臨時支出を追加

2割減+追加修繕200万円 ▲約146万円/年

複数のリスクが重なる例


この例では、通常は年間約163万円の手残りがあっても、賃貸収入が2割下がり、さらに修繕費が200万円増えると約146万円の持ち出しになります。


この金額をどの資金で負担するのか。持ち出しは一度だけか、複数年続く可能性があるのか。購入前に具体的に考えておくと、不安が検討事項に変わります。



5.元本返済は資産形成だが、安心の保証ではない


年間約283万円の返済のうち、初年度約137万円は元本返済です。借入残高が減ることは資産形成の一面です。


ただし、物件価格も同時に下がっている可能性があります。キャッシュフローだけでなく、借入残高と物件価値の変化を併せて判断する必要があります。



6.誰に相談するか


家賃と空室は管理会社へ、建物の状態は建築・設備の専門家へ、金利と借入条件は金融機関へ確認します。税理士・公認会計士は、税務と資金繰りを分けたシミュレーションを整理する役割を担えます。



7.まとめ|怖さを数字に分けることから始める


このモデルは、利回り約7.5%で、税引前の手残りが年間約163万円あります。しかし条件が悪化すれば、その余裕は減ってしまいます。


購入時の通常収支、悪化した年の持ち出し、将来の売却時の結果。この三つを説明できることが、納得できる投資判断につながります。



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監修者 月方智彦(公認会計士・税理士)

監修者

月方 智彦

公認会計士・税理士


公認会計士・税理士として税務・会計の実務に携わり、事業経営や不動産保有の当事者としての経験も持つ。企業経営者や不動産オーナーの税務・財務・相続を横断して考え、必要に応じて各分野の専門家と連携した支援を重視している。


専門分野:法人・不動産税務/相続・贈与/財務・資金繰り/事業承継

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シリーズ記事|全5回の目次


このシリーズでは、取得費7,300万円・借入6,000万円の共通モデルを使い、投資判断を5つの視点から解説します。

第1回|不動産投資が怖いのはなぜ?購入前に確認すべきリスクと判断基準






※この数値例は収入・経費・減価償却費等を一定の条件で置いた参考モデルです。借入の元利返済と初年度利息は年2.45%・30年元利均等で別途試算しています。取得諸費用、将来の修繕、土地・建物の内訳、申告上の適用要件や実際の税金等により、結果は変わります。


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