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不動産投資の経費一覧|どこまで経費にできる?減価償却・節税・税務調査を税理士が解説

8月25日
読了時間: 18分

更新日:3 日前

資料整理をしている経理スタッフ

不動産投資では、家賃収入から必要経費を差し引いて不動産所得を計算します。

そのため、

「どこまで経費にできるのか」

は、不動産オーナーにとって非常に重要なテーマです。

一方で、経費は単に「領収書があれば計上できる」というものではありません。

基本となるのは、次の3つです。

① 不動産賃貸業との関連性

② 支出金額や内容の合理性

③ 領収書・契約書・記録などの裏付け

逆に、この3つをきちんと説明できる支出であれば、必要以上に経費計上を怖がる必要もありません。


本記事では、個人で収益不動産を所有している不動産オーナーを主な対象として、経費にできるもの・できないもの、判断に迷いやすい費用、減価償却を使った節税、税務調査への備えまで実務的に解説します。

※法人で不動産を所有している場合には、「必要経費」ではなく「損金」として法人税を計算し、一部取扱いが異なります。

まず結論|不動産投資の経費はどこまで認められる?

不動産投資の経費には、「家賃収入の○%まで」といった一律の上限はありません。

重要なのは、その支出が不動産賃貸業のために必要なものであるかどうかです。

代表的な費用を整理すると、次のようになります。

支出

基本的な取扱い

ポイント

減価償却費

○

土地は対象外

管理費・管理委託料

○

賃貸管理に対応するもの

修繕費

○

資本的支出との区分に注意

修繕積立金

△

一定の要件を満たせば支払年の経費にできる

固定資産税・都市計画税

○

賃貸部分に対応するもの

火災保険料・地震保険料

○

保険期間に対応して計上

ローン利息

○

元本返済は経費にならない

車両費

△

業務使用分のみ

飲食代・ゴルフ代

△

相手・目的・業務関連性が重要

自宅家賃・通信費

△

合理的な家事按分が必要

税理士等の専門家報酬

○

不動産賃貸業に関連する部分

購入時の仲介手数料

即時経費×

原則として土地・建物の取得価額へ

ローン元本返済

×

借入金の返済であり経費ではない

所得税・住民税

×

不動産所得の必要経費にはならない

なお、「経費になるか」と「その支出をすることが投資として有利か」は別問題です。

不動産投資では、単に税金を減らすのではなく、購入・保有・売却まで含めた税引後キャッシュフローを最大化することが重要です。


目次

1.不動産投資の経費になるかは「3つのポイント」で考える

不動産所得の必要経費となるか迷ったときは、まず次の3つを確認してみてください。


① 不動産賃貸業に関係する支出か

最も重要です。

その支出が、

  • 入居者を募集するため

  • 物件を維持・管理するため

  • 修繕するため

  • 融資を受けるため

  • 賃貸経営について専門家へ相談するため

など、家賃収入を得るための活動と結び付いているかを考えます。


② 金額や内容に合理性があるか

業務に関係していれば金額はいくらでもよい、というわけではありません。

同じサービスについて相場の何倍もの金額を支払っていたり、支出内容から見て不自然に高額だったりすれば、その理由を説明できることが重要になります。


③ 客観的な資料を残しているか

税務調査では、本人の説明だけでなく、

  • 契約書

  • 請求書

  • 領収書

  • 振込記録

  • メール

  • 写真

  • 打合せ記録

なども確認されます。

特に、車、飲食、ゴルフ、自宅関連費などプライベートとの境界が曖昧になりやすい支出は、簡単なメモを残しておくだけでも説明しやすくなります。

必要経費のフロー

2.不動産投資の経費はいくらまで?上限はある?

不動産投資の必要経費について、税法上「家賃収入の○%まで」「年間○万円まで」といった一律の上限はありません。

家賃収入が600万円だから経費は100万円まで、といった決まりがあるわけではありません。

必要経費になるかどうかは、金額の割合だけでなく、その支出が不動産収入を得るために必要な費用であるかどうかによって判断します。

そのため、大規模修繕を行った年などは、家賃収入に対する経費の割合が一時的に高くなることもあります。

一方で、家賃収入に比べて多額の車両費、飲食費、ゴルフ代などが計上されている場合には、その支出が本当に賃貸経営に必要だったのかを説明できることが重要です。

インターネット上では「経費率○%程度が目安」と説明されることもありますが、物件の築年数、修繕状況、借入条件、管理方法などによって必要な費用は大きく異なります。

したがって、

「経費率が何%か」ではなく、「その支出について業務上の必要性を説明できるか」

という視点で考える方が適切です。


3.不動産投資で経費にできる代表的なもの


支出

基本的な扱い

主な注意点

減価償却費

○

土地は対象外

修繕費

○

資本的支出との区分

固定資産税

○

賃貸部分

借入金利息

○

元本は不可・土地負債利子

車両費

△

業務使用割合

飲食・ゴルフ

△

相手・目的・業務関連性

自宅関連費

△

合理的な按分

購入時仲介手数料

即時経費×

取得価額へ


減価償却費

建物価格の決め方や中古資産の耐用年数によって減価償却費は大きく変わります。計算方法や売却時への影響については、「不動産投資の減価償却とは?」で詳しく解説しています。

不動産投資で特に重要なのが減価償却費です。

土地は減価償却できませんが、

  • 建物

  • 建物附属設備

  • 構築物

  • 一定の設備・備品

などは、取得価額を耐用年数に応じて費用化します。

特に中古不動産では、一定の要件を満たせば中古資産の耐用年数を用いることができ、新築より短期間で減価償却できる場合があります。

また、建物本体だけでなく、

  • 電気設備

  • 給排水設備

  • 衛生設備

  • 空調設備

  • エレベーター設備

などを建物附属設備として合理的に区分できれば、建物本体より短い耐用年数で償却できるケースがあります。

不動産投資では、購入時の土地・建物・設備の取得価額をどう整理するかが、その後の税負担に大きく影響します。

ただし、税金を減らすことだけを目的に建物価格を大きくすればよいわけではありません。土地・建物の按分には合理的な根拠が必要です。


修繕費

修繕費と資本的支出は、工事金額ではなく内容によって判断します。具体的な判定フローについては、「修繕費と資本的支出の違い」をご確認ください。

入居者退去後の原状回復、雨漏り修理、故障した設備の交換など、建物を通常の状態に戻したり機能を維持したりするための費用は、原則として修繕費として必要経費になります。

一方、

  • 建物の価値を明らかに高める工事

  • 使用可能期間を延長する工事

  • 増築

  • 大幅なグレードアップ

などは「資本的支出」として資産計上し、減価償却することがあります。

金額だけで決まるわけではありません。

工事前後の写真、見積書、工事内容、仕様書などを残しておくことが大切です。

判断が難しい修繕については、税法上一定の形式基準も設けられているため、大規模修繕を行う場合には工事前に確認しておくことをおすすめします。


管理委託料・清掃費・点検費

管理会社へ支払う管理委託料、共用部分の清掃費、消防設備等の点検費、保守費用などは、賃貸経営のための費用として必要経費になります。

管理会社との契約書や請求書を保存しておけば、通常は業務との関連性も説明しやすいでしょう。


修繕積立金

区分マンションを賃貸している場合、管理組合へ支払う修繕積立金についても確認が必要です。

修繕積立金は、原則として、実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した年の必要経費となります。

ただし、国税庁は、一般的なマンションの修繕積立金について、

・区分所有者が管理組合に対して支払義務を負っている

・支払った修繕積立金が原則として返還されない

・将来の修繕等のためにのみ使用される

・長期修繕計画等に基づいて合理的に算定されている

など一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年の必要経費に算入して差し支えないとしています。

区分マンション投資では毎月発生する費用なので、「管理費と同じように必ず支払時の経費になる」と考えるのではなく、管理規約や長期修繕計画なども確認しておきましょう。


固定資産税・都市計画税など

賃貸不動産に対応する、

  • 固定資産税

  • 都市計画税

  • 不動産取得税

  • 登録免許税

  • 契約書等の印紙税

などは、一定のものを除き必要経費に算入できます。

ただし、自宅兼賃貸物件などの場合には、賃貸部分と自宅部分を合理的に分ける必要があります。


火災保険料・地震保険料

賃貸物件にかかる火災保険料や地震保険料も必要経費になります。

複数年分の保険料を一括して支払った場合などは、原則として保険期間に対応して費用計上します。


借入金利息

不動産を購入するための借入金や、修繕・設備投資のための借入金にかかる利息は必要経費になります。

一方、毎月のローン返済額のうち元本部分は必要経費になりません。

元本と利息の内訳は、金融機関から交付される返済予定表で確認できます。

不動産所得が赤字の場合には「土地負債利子」に注意

個人の不動産所得が赤字となった場合、土地の取得に対応する借入金利息相当額については、給与所得など他の所得と損益通算できません。

例えば、

  • 不動産所得の赤字 100万円

  • 土地取得に対応する借入金利息 24万円

であれば、他の所得と損益通算できる赤字は原則として76万円となります。

土地負債利子については計算方法が少し特殊なため、別記事で詳しく解説しています。


旅費交通費

物件の現地確認、内見、入居者対応、不動産会社との打合せ、金融機関との融資交渉などのために使用した、

  • 電車

  • 新幹線

  • タクシー

  • 高速道路料金

  • 駐車場代

などは必要経費になります。

遠方の物件を所有している場合など、旅行との区別が問題になりそうなときは、日時・訪問先・目的程度を記録しておけば十分説明しやすくなります。


広告宣伝費

入居募集のための、

  • ポータルサイト掲載料

  • 写真撮影費

  • ホームステージング費用

  • 募集看板

  • 不動産会社へ支払う広告料

なども必要経費になります。


税理士・司法書士・弁護士などの専門家報酬

不動産賃貸業に関連して支払った、

  • 税理士

  • 司法書士

  • 弁護士

  • 土地家屋調査士

  • 測量士

  • 不動産コンサルタント

などへの報酬も必要経費となる場合があります。

ただし、不動産の取得価額に含めるべき費用など、その支出内容によって処理が異なるケースがあります。


水道光熱費・通信費

共用部分の電気代・水道代、不動産管理に使用するインターネット回線や携帯電話代なども必要経費になります。

私用と兼用している場合には、使用状況などに応じて合理的に按分します。


消耗品・備品

不動産管理に使用するパソコン、プリンター、机、工具なども必要経費または減価償却の対象になります。

通常、取得価額10万円未満の減価償却資産は、原則としてその年の必要経費に算入できます。

また、一定の青色申告を行う中小事業者については、2026年4月1日以後に取得等する資産について、取得価額40万円未満の少額減価償却資産を年間300万円まで即時に必要経費へ算入できる特例があります。

10万円以上20万円未満の資産については「一括償却資産」として3年間で均等に費用化する方法もあります。

どの制度を利用するかによって、所得税だけでなく償却資産税の取扱いにも違いが出るため、購入時に選択するとよいでしょう。


IT・クラウドサービス

不動産管理に使用する、

  • 会計ソフト

  • 電子契約サービス

  • クラウドストレージ

  • 賃貸管理システム

  • 証憑管理サービス

などの利用料も必要経費になります。


セミナー・書籍・情報収集費用

賃貸経営に必要な専門書、業界誌、有料データベース、セミナー、コンサルティングなども、賃貸経営との関連性があれば必要経費になります。

「不動産に関するものなら何でも経費」というわけではありませんが、実際の物件取得、管理、融資、税務などに関連するものであれば、経費計上を過度に避ける必要はありません。


自動車関連費用

物件確認や不動産会社訪問などに車を使用している場合には、

  • ガソリン代

  • 駐車場代

  • 自動車保険

  • 車検費用

  • 修理費

  • 自動車税

  • 減価償却費

などについて、業務使用分を必要経費にできます。

重要なのは、車種ではなく使用実態です。

フェラーリのような高級車であっても、車種だけを理由に必要経費にならないわけではありません。重要なのは業務での使用実態です。

ただし、プライベートでも使用しているのであれば、走行距離や使用日数など合理的な基準で業務使用割合を決めておきましょう。


飲食代・交際費・ゴルフ代

不動産会社、管理会社、工務店、金融機関などとの飲食やゴルフであっても、具体的な業務上の目的があれば必要経費となる可能性があります。

「ゴルフだから経費にならない」というルールではありません。

重要なのは、

  • 誰と行ったのか

  • 何のために行ったのか

  • 賃貸経営とどのような関係があるのか

です。

逆に、友人とのゴルフや家族との食事を、単に「情報交換」「不動産相談」として経費計上するのは難しいでしょう。

飲食・ゴルフなど私的利用と区別しにくいものについては、領収書に相手先と目的を簡単にメモしておくことをおすすめします。


4.不動産投資で経費にできない・注意が必要なもの


購入時の仲介手数料・固定資産税精算金

不動産を購入するときに支払う費用は、すべてその年の経費になるわけではありません。例えば購入時の仲介手数料は土地・建物の取得価額に算入します。また、売主へ支払う固定資産税・都市計画税の精算金も、税金そのものではなく購入代価の一部として取得価額に算入します。


個人的な飲食・旅行・ゴルフ

家族との食事、友人との旅行、趣味のゴルフなど、不動産賃貸業とは関係のない支出は必要経費になりません。

ポイントは「領収書があるか」ではなく、賃貸経営のための支出かどうかです。


スーツ・バッグ・腕時計など

通常のスーツ、バッグ、腕時計などは、仕事でも使用できる一方で日常生活でも使用できるため、原則として必要経費への算入は難しいと考えられます。

一方、作業服、会社名入りの制服、安全装備など、用途が業務用に限定されるものは必要経費になり得ます。


罰金・交通反則金

罰金、科料、過料、交通反則金などは原則として必要経費になりません。


所得税・住民税

個人の所得税・住民税は、不動産所得を計算する上で必要経費にはなりません。

一方、賃貸物件の固定資産税や一定の事業税など、必要経費となる税金もあります。


自宅関連費の全額計上

自宅の家賃、電気代、インターネット代などを不動産管理にも使用している場合、業務に対応する部分については必要経費となる可能性があります。

ただし、私生活部分まで全額を経費にすることはできません。

面積、使用時間、使用状況など、その費用に適した基準で按分します。


家族への給与

生計を一にする家族への給与は、原則としてそのまま必要経費にはできません。

ただし、不動産貸付けが事業的規模であることなど一定の要件を満たし、「青色事業専従者給与」として適正な金額を支給している場合には、必要経費に算入できます。


スポーツジムの会費

本人の健康維持を目的とするスポーツジム代は、原則として必要経費にはなりません。

不動産賃貸業との直接的な関係を説明することが通常難しいためです。


資格取得費用

宅地建物取引士など、本人に帰属する資格の取得費用については、資格取得後に不動産業務へ活用するとしても、必要経費として認められないケースがあります。

一方、取得後の業務に直接関係する研修費や情報収集費などは別途判断します。


5.「経費を増やせば節税になる」は間違い


不動産投資で非常に重要なのが、

税金を減らすためだけにお金を使わない

という考え方です。

例えば30万円の経費を使って税金が10万円減ったとしても、手元のキャッシュは20万円減っています。

節税の目的は「税額を最小にすること」ではありません。

税引後の手元キャッシュを最大化することです。

そのため、支出を伴う経費については、

  • 家賃が上がる

  • 空室期間が短くなる

  • 修繕リスクが減る

  • 管理負担が減る

  • 税務・法務リスクを減らせる

など、その支出によって得られる効果まで考えることが重要です。

極端に安い管理会社、施工会社、専門家へ依頼した結果、空室期間が延びたり、申告ミスや機会損失が生じたりすれば、結果として高くつくこともあります。

必要なものには適切にお金を使い、不要なものには使わない。

これが不動産投資における経費の基本です。

経費を使えば得ではない

6.不動産投資で減価償却が重要な理由


その中でも減価償却費は特殊です。

不動産購入時には資金を支出していますが、その後、毎年減価償却費を計上する時点では追加のキャッシュアウトがありません。

そのため、不動産投資では減価償却の設計がキャッシュフローに大きく影響します。

特に、

  • 建物割合

  • 建物と附属設備の区分

  • 中古資産の耐用年数

などは、購入後の税額に大きく影響します。

ただし、減価償却は税金が永久に消える仕組みではありません。

個人が不動産を売却するときには、減価償却した分だけ建物の取得費が減少するため、その分、将来の譲渡所得が大きくなります。

したがって、

「今いくら税金が減るか」だけではなく、「将来売却したときにいくら税金がかかるか」まで考える

ことが重要です。


7.減価償却は「今の税率」と「売却時の税率」で考える

個人が土地・建物を売却した場合、所有期間によって譲渡所得の税率が大きく異なります。


短期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合

約39.63%


長期譲渡所得

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合

約20.315%


そのため、例えば現在の所得税・住民税の限界税率が高く、将来は長期譲渡所得として売却できるのであれば、減価償却を前倒しするメリットが大きくなる場合があります。

一方、購入後短期間で売却する予定であれば、当期の節税額だけで判断すると想定以上に売却時の税負担が大きくなる可能性があります。

不動産投資では、

  1. 保有期間中の節税効果

  2. 保有期間中のキャッシュフロー

  3. 売却時の譲渡税

  4. 投資期間

  5. 個人所有か法人所有か

をセットで考えましょう。

不動産投資では「今年の税金」ではなく、購入時の自己資金、融資、保有中のキャッシュフロー、売却代金、売却時の税金まで含めた税引後キャッシュフローで判断することが重要です。

減価償却は今の節税だけで判断しない

8.税務調査で確認されやすいポイント


不動産オーナーの税務調査では、すべての項目が同じように確認されるわけではありません。

特に説明を求められやすいのは、次のような項目です。


① 土地と建物の取得価額

売買契約書に土地・建物の内訳がない場合の按分方法については、「売買契約書に土地・建物の内訳がない場合はどう按分する?」で具体的に解説しています。

減価償却費に直接影響するため、土地・建物の按分根拠が重要です。


② 修繕費と資本的支出

高額な工事については、単なる修繕なのか、建物価値を高める資本的支出なのかが確認されることがあります。


③ 車両費

業務利用と私的利用が混在しやすいため、業務使用割合がポイントになります。


④ 飲食・ゴルフ等

相手先、目的、業務との関連性が確認されやすい費用です。


⑤ 自宅関連費

家賃、通信費、水道光熱費などを按分している場合、その按分基準が確認されます。


⑥ 家族への給与や外注費

実際に仕事をしているのか、金額は適正か、契約や支払実態があるかなどがポイントになります。


⑦ 領収書と会計帳簿の整合性

請求書、領収書、振込記録、帳簿などが一連の取引としてつながっていることが重要です。


9.経費を守るために残しておきたい資料


経費について特別な資料を大量に作る必要はありません。

基本的には、

  • 契約書

  • 見積書

  • 請求書

  • 領収書

  • 振込記録

  • メール

  • 写真

など、通常の取引で発生する資料を保存しておけば十分です。

ただし、飲食、ゴルフ、車両、出張など私的利用との区別が問題になりやすいものについては、

「○○不動産 △△さん/○○物件の売却相談」

程度の簡単なメモを残しておくと、数年後に確認されたときにも説明しやすくなります。

帳簿や証憑の法定保存期間は書類の種類などによって異なり、5年または7年などの保存が必要になります。

また、電子メールで受け取った請求書やPDFなどの電子取引データについては、電子帳簿保存法に沿った保存も必要です。


10.まとめ


不動産投資の経費で重要なのは、

① 不動産賃貸業との関連性

② 金額・内容の合理性

③ 客観的な資料

の3つです。

業務との関連性をきちんと説明できるのであれば、必要以上に経費計上を怖がる必要はありません。

一方、「税金を減らしたいから年末に何か買う」という発想はおすすめしません。

不動産投資の目的は、経費を増やすことでも、税金をゼロにすることでもなく、最終的な手元キャッシュを増やすことだからです。

特に不動産投資では、

  • 減価償却

  • 土地・建物の按分

  • 修繕費と資本的支出

  • 個人・法人の選択

  • 売却時の税金

が互いに関係します。

購入時に節税できたように見えても、売却まで含めると最適な方法が変わることは珍しくありません。

そのため、不動産投資の税務は「今年の確定申告」だけではなく、購入・保有・売却までを一つの投資として考えることが重要です。


不動産投資では、経費だけでなく、購入時・保有中・売却時まで含めた税務全体を確認することが重要です。全体像は、「不動産投資・賃貸経営に関する税務の基本」で整理しています。


申告を依頼する前の準備は、不動産所得の確定申告で必要な資料一覧をご確認ください。


参考資料

志田宏樹

監修者

志田 宏樹

公認会計士・税理士・宅地建物取引士


監査法人で上場企業等の監査業務に従事した後、投資用不動産会社で財務責任者として勤務。金融機関対応、資金調達、会計実務、税務調査対応等を経験。現在はアポロ税理士法人の代表社員として、不動産オーナーや企業経営者に対し、税務・財務・融資・不動産に関する支援を行っている。


専門分野:不動産税務/不動産法人化/融資・資金調達/財務/相続・資産承継

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