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修繕費と資本的支出の違いとは?不動産オーナーが迷わない判断基準と事例解説

8月26日
読了時間: 17分

更新日:3 日前

女性経理スタッフが経理処理について悩んでいる

不動産投資をしていると、

「外壁塗装に500万円かかった。金額が大きいから資産計上ですか?」

「退去後にキッチンや浴室を交換したけれど、修繕費にできますか?」

「リフォーム会社の請求書に『改修工事一式』としか書かれていないけれど大丈夫?」

といった疑問が出てきます。

不動産の工事費について、税務上重要になるのが「修繕費」と「資本的支出」の区分です。

簡単にいうと、

  • 修繕費:原則として、その年の必要経費・損金として計上

  • 資本的支出:建物や建物附属設備などとして資産計上し、その後、減価償却

という違いがあります。

そのため、同じ500万円の工事でも、修繕費になるか資本的支出になるかによって、その年の所得や税額が大きく変わることがあります。

ただし、最初に知っておいていただきたいのは、

「工事金額が大きい=資本的支出」ではない

ということです。

1,000万円を超える工事であっても、建物を従来の状態に戻すための工事であれば、修繕費となる可能性があります。

反対に、比較的小さな金額でも、新しい設備を追加したり、建物の価値や使用可能期間を明らかに高めたりする工事であれば、資本的支出となることがあります。

重要なのは、工事の名称や金額ではなく、その工事によって建物が実質的にどう変わったのかです。

この記事では、不動産オーナーが実際に工事を行う場面を想定しながら、修繕費と資本的支出の判断方法と、工事前にやっておきたい対策をわかりやすく解説します。


目次

1.まず知っておきたい修繕費と資本的支出の違い

不動産投資で経費になる支出全体を確認したい方は、「不動産投資の経費一覧」もあわせてご覧ください。

修繕費とは

修繕費とは、建物や設備について、

「壊れたものを直す」「劣化したものを元の状態に戻す」「現在の機能を維持する」

ための支出です。

例えば、

  • 雨漏りの補修

  • 外壁のひび割れ補修

  • 劣化したクロスや床材の張替え

  • 壊れた設備の同等程度のものへの交換

  • 退去時の通常の原状回復

などが典型的な例です。

税務上、固定資産の通常の維持管理や原状回復のために必要となった部分は、原則として修繕費となります。


資本的支出とは

資本的支出となった金額は原則として減価償却の対象になります。詳しくは、「不動産投資の減価償却とは?」で解説しています。

一方、資本的支出とは、修理や改良によって、

建物の価値を高めたり、使用可能期間を延長したりする部分

に対応する支出です。

例えば、

  • 建物に新しい設備や構造物を付加する

  • 建物を増築する

  • 用途変更のために大規模な改装を行う

  • 従来より明らかに高い品質・性能のものに変更する

といった工事が該当する可能性があります。

資本的支出になった場合、その年に全額を経費にするのではなく、原則として減価償却によって複数年にわたって必要経費・損金にしていきます。

つまり、

修繕費と資本的支出の違いは、「経費になる・ならない」というより、「いつ経費になるのか」の違い

と考えるとわかりやすいでしょう。


2.「高額な工事だから資本的支出」は間違い

不動産オーナーさんからよく、

「500万円もかかったので、さすがに修繕費にはできませんよね?」

という質問を受けます。

しかし、税務上は工事金額だけで修繕費・資本的支出を決めるわけではありません。

例えば、築古の一棟マンションについて、劣化した外壁を従来と同程度の材料・工法で補修・塗装するために800万円かかったとします。

金額だけを見れば大きな支出ですが、工事の目的や内容が、

「劣化した外壁を従来の状態に戻すこと」

であり、建物に新しい機能を追加したわけでも、明らかに価値や耐久性を増加させたわけでもないのであれば、修繕費として処理できる可能性があります。

反対に、比較的小規模な工事でも、新しい設備や機能を追加するための支出であれば、資本的支出となることがあります。

したがって、

「100万円を超えたら資産計上」

「大規模修繕だから資産計上」

といった機械的な判断は適切ではありません。

見るべきなのは金額の大小ではなく、

「工事前と工事後で、その建物・設備が実質的にどう変わったのか」

です。


3.国税庁のルールに沿って判断するとどうなる?

実際の税務では、毎回ゼロから「価値が上がったか」「耐久性が増したか」だけを検討するわけではありません。

国税庁の通達では、実務上利用できる一定の判定基準が設けられています。

個人で不動産を所有している場合と法人で所有している場合では根拠となる通達は異なりますが、基本的な判定の流れはほぼ共通しています。

順番に見ていきましょう。


資本的支出の判定フロー
資本的支出の判定フロー

STEP1 1つの修理・改良が20万円未満か

一つの修理・改良等の金額が20万円未満であれば、一定の要件のもと修繕費として処理することができます。

ここで重要なのが、

「請求書1枚が20万円未満かどうか」ではない

という点です。

税務上は原則として、

「一の計画に基づき、同一の固定資産について行う一つの修理・改良等」

を単位として判断します。

したがって、一体として行うリフォーム工事を単純に請求書だけ分けても、それぞれ別々に20万円未満と判定できるとは限りません。

例えば、一つの改修計画として行われた工事を、税務上の金額基準だけを意識して形式的に分割するのは適切ではありません。

一方で、実際に対象となる固定資産や工事の内容、計画がそれぞれ独立しているのであれば、個別に判断できる場合もあります。

重要なのは、請求書の枚数ではなく工事の実態です。


実務メモ|20万円は税込?税抜?

消費税について、

  • 税込経理方式を採用している場合:原則として税込金額

  • 税抜経理方式を採用している場合:原則として税抜経理後の金額

を基礎として判定します。

例えば、税込218,900円の工事で、消費税率10%、税抜経理により全額について通常どおり仕入税額控除できるケースであれば、本体価格は199,000円です。

この場合、

  • 税込経理:218,900円

  • 税抜経理:199,000円

となるため、金額基準の判定結果が変わる可能性があります。

ただし、インボイス制度導入後は注意が必要です。

適格請求書発行事業者ではない事業者からの仕入れでは、税抜経理を採用していても、仕入税額控除できない消費税等の部分が取得価額・費用の額に影響することがあります。

また、適格請求書発行事業者以外の者からの一定の課税仕入れについて認められている経過措置の控除割合は、**2026年10月1日から70%**となります。

したがって、20万円などの金額基準に近い工事については、単純に「税込÷1.1」で判断するのではなく、実際の消費税処理まで確認することをおすすめします。


STEP2 おおむね3年以内の周期で行われる工事か

修理・改良等が、

おおむね3年以内の期間を周期として行われることが、これまでの実績その他の事情から明らか

である場合も、修繕費として処理できるルールがあります。

ここで注意したいのは、

「3年以内なら何でも修繕費」という制度ではない

ということです。

例えば、

  • 過去の修繕履歴

  • 保守・メンテナンス契約

  • 設備の管理記録

  • 工事会社やメーカーから示された交換・補修周期

などの資料から、短期間で繰り返し行う性質の工事であることを説明できるようにしておくとよいでしょう。


STEP3 明らかに価値を高める・耐久性を増すものか

次に、工事の実質を確認します。

国税庁では、資本的支出の例として、

  • 避難階段の取付けなど、物理的に付加した部分

  • 用途変更のための模様替えなどに直接要した部分

  • 特に品質・性能の高い部品への交換について、通常の交換費用を超える部分

などを挙げています。

ただし、

「以前より性能のよい商品に交換した=全額資本的支出」

と単純に判断するわけではありません。

現在では、10年前・20年前と全く同じ製品が販売されていないことも珍しくありません。

設備の技術進歩によって、通常販売されている同クラスの商品に交換しただけでも、省エネ性能や耐久性が以前より向上することがあります。

そのため、設備交換では、

「新製品の性能が上がったか」だけではなく、「建物・設備全体として価値や耐久性が実質的に増加したのか」

まで確認する必要があります。


4.性能が上がったら必ず資本的支出?国税庁のLED事例

この点について参考になるのが、国税庁が公表しているLEDランプへの取替え事例です。

この事例では、事務室に設置されていた蛍光灯100本を蛍光灯型LEDランプに交換し、費用総額は110万円でした。

LED化によって、

  • 消費電力が少なくなる

  • 寿命が長くなる

  • 発熱が少なくなる

など、従来の蛍光灯より性能が向上しています。

それでも国税庁は、照明設備そのものに工事を行わず、その構成部品であるランプを交換したという事実関係のもとでは、建物附属設備全体として価値や耐久性が高まったとまではいえないとして、修繕費処理を認めています。

これは実務上、非常に重要な事例です。

つまり、

「性能が良くなった」=「必ず資本的支出」ではありません。

何を交換したのか、それが固定資産全体にどの程度の影響を与えたのかまで確認する必要があります。


5.通常の維持管理・原状回復なら修繕費

工事が、

  • 建物を現在の状態で使用し続けるための通常の維持管理

  • 壊れた箇所や劣化した部分を従来の状態に戻すための原状回復

であれば、原則として修繕費として考えます。

ここは不動産オーナーにとって非常に重要です。

税務リスクを恐れるあまり、

「工事金額が大きいので、とりあえず全部資産計上しておこう」

とする必要はありません。

事実関係や資料から修繕費として合理的に説明できるのであれば、適切に修繕費として処理することも重要です。

過度に保守的な会計処理をすれば税務リスクは小さく見えるかもしれませんが、本来その年に経費計上できる金額を将来へ繰り延べてしまうことになります。

重要なのは、税金を少なくすることでも、多めに払うことでもなく、工事実態に合わせて正しく処理することです。


6.それでも判断できない場合は「60万円・10%基準」

ここは誤解が多いところです。

工事内容を確認しても、修繕費なのか資本的支出なのか明らかでない金額については、

  • 60万円未満

  • 対象となる固定資産の前年末・前期末取得価額のおおむね10%以下

のいずれかに該当すれば、一定の要件のもと修繕費として処理することができます。

例えば、個人が所有する建物の前年末取得価額が5,000万円であれば、

5,000万円 × 10% = 500万円

です。

修繕費か資本的支出か明確に区分できない金額について、一定の場合には500万円以下であることが一つの判定基準になります。

ただし、非常に重要なのは、

60万円・10%基準は、「明らかに資本的支出である工事」を修繕費にできる制度ではない

という点です。

例えば、建物に新しい設備を追加したことが明らかで、その支出が資本的支出に該当するのであれば、

「50万円だから60万円未満。したがって修繕費」

という使い方をする制度ではありません。

あくまで、

実質を確認しても修繕費か資本的支出か明らかでない部分

に利用できる形式的な判定基準です。


7.「30%・10%」で分ける方法もある

20万円・3年周期・60万円・10%以外にも、実務上利用できる取扱いがあります。

修繕費か資本的支出か明らかでない金額について、一定の要件のもと、継続して、

① その金額の30%② 固定資産の前年末・前期末取得価額の10%

のいずれか少ない金額を修繕費とし、残りを資本的支出とする方法です。

例えば、

  • 判定が明らかでない工事費:1,000万円

  • 建物の前年末取得価額:5,000万円

だったとします。

すると、

1,000万円 × 30% = 300万円

5,000万円 × 10% = 500万円

となります。

少ない方は300万円なので、一定の要件を満たせば、

  • 修繕費:300万円

  • 資本的支出:700万円

という区分方法を採用することができます。

ただし、この取扱いには継続して適用することなどの条件があります。

毎年、最も税額が少なくなる方法を自由に選択するための制度ではありません。

そのため、この方法を採用する場合は税理士への確認をおすすめします。


8.不動産で特に迷いやすい工事をどう判断する?

ここからは、不動産投資で実際に相談が多い工事について見ていきます。


外壁塗装・屋上防水

外壁塗装や屋上防水は、工事費が数百万円から数千万円になることもあるため、

「大規模修繕だから資本的支出」

と思われがちです。

しかし、大規模な工事というだけで資本的支出になるわけではありません。

例えば、

  • 劣化した外壁の補修

  • クラック補修

  • 劣化した塗装の塗り直し

  • 劣化した防水層の補修・更新

など、建物の機能を維持・回復することが主目的であれば、修繕費として検討できる可能性があります。

一方、

  • 従来なかった機能を新たに追加した

  • 建物そのものの耐久性を明確に高める改良を行った

  • 新たな構造物を追加した

といった部分については、資本的支出となる可能性があります。

そして、ここで重要なのが、

工事全体を「全部修繕費」「全部資本的支出」の二択で考えないことです。

工事の中身を分けて考える
原状回復と価値向上の工事区分図

一つの大規模修繕の中に原状回復部分と改良部分が混在しているのであれば、見積書などをもとに合理的に区分できないか検討します。


退去時の原状回復・リフォーム

賃貸物件では非常に多いケースです。

例えば、

  • クロスの張替え

  • 床材の張替え・補修

  • 壊れた建具の交換

  • 水栓・便器などの同程度のものへの交換

など、通常の原状回復であれば修繕費として検討しやすいでしょう。

一方、

  • 間取りを大幅に変更する

  • 新たに収納設備を追加する

  • 水回りの位置そのものを移動する

  • 従来なかった設備を新設する

といった工事は、資本的支出となる可能性が高くなります。

「和室から洋室へ変更した」

「1Kから1LDKへ変更した」

といった場合についても、変更したという名称だけで一律に判断するのではなく、具体的な工事内容、目的、固定資産の価値への影響などを確認して判断する必要があります。


エアコン・給湯器・キッチン・浴室などの設備交換

設備交換で重要なのは、

「新品になったか」ではなく、「単なる交換なのか、新しい機能や価値の付加なのか」

という点です。

老朽化した設備を現在販売されている一般的な同等クラスの商品に交換しただけであれば、修繕費として検討できる場合があります。

一方で、

  • 従来存在しなかった設備を新設する

  • 建物全体に新しい機能を付加する

  • 従来より著しく高い品質・性能へ改良する

場合には、資本的支出となる可能性があります。

設備交換では、旧製品と新製品の、

  • 型番

  • 能力

  • 機能

  • メーカーのカタログ

  • 見積書

を残しておくと、後から「同等交換だったのか」「改良だったのか」を説明しやすくなります。


9.実は一番重要なのは「工事が終わる前」

購入・保有・売却まで含む不動産税務全体については、「不動産投資・賃貸経営に関する税務の基本」をご確認ください。

修繕費か資本的支出かの相談を受ける際、

「すでに工事が終わって、請求書も届いている」

というケースは少なくありません。

もちろん、工事後でも税務上の判定はできます。

しかし、実務上最も対応しやすいのは工事を発注する前です。

例えば500万円のリフォームについて、請求書に、

内装改修工事一式 5,000,000円

としか記載されていなければ、

  • 原状回復部分はいくらなのか

  • 新しい設備を追加した部分はいくらなのか

  • 既存設備の交換はいくらなのか

  • グレードアップ部分はいくらなのか

が分かりません。

一方、工事前の見積書で、

  • クロス既存撤去・張替え

  • 床材既存撤去・張替え

  • 既存給湯器撤去・同等品交換

  • 新規収納造作

  • 間仕切り新設

などと分かれていれば、税務判断は格段にしやすくなります。

つまり、実務上重要なのは、

工事が終わってから税理士が請求書を見ることではなく、工事を発注する段階から税務上説明できる資料を残しておくこと

です。

これは特に、一棟マンション・アパートの大規模修繕や、数百万円以上のリフォーム・リノベーションで大きな差になります。


10.工事会社にお願いしたい「見積書の作り方」

高額な工事を行う場合には、可能であれば「○○工事一式」という見積書だけで終わらせないことをおすすめします。

工事会社には、

①何を撤去するのか

②何を修理するのか

③何を交換するのか

④何を新しく追加するのか

⑤既存品と新製品の仕様はどう違うのか

が分かる見積書をお願いするとよいでしょう。

これは「税務上有利になるように見積金額を操作してほしい」という意味ではありません。

実際の工事内容を正確に明細化してもらうということです。

この資料があることで、改良部分を適切に資本的支出として処理できる一方で、

本来修繕費として処理できる部分まで必要以上に資産計上してしまうことも防げます。


11.施工前後の写真はぜひ残しておく

見積書・請求書と同じくらい役に立つのが写真です。

例えば外壁工事であれば、

  • 施工前のひび割れ

  • 塗装の剥離

  • 雨漏りの状況

  • 防水層の劣化

などを写真で残しておけば、

「建物をグレードアップするためではなく、劣化した部分を回復するための工事だった」

という説明が格段にしやすくなります。

スマートフォンで撮影した写真でも構いません。

できれば、

施工前 → 工事中 → 施工後

の3段階で保存しておくことをおすすめします。

工事会社から施工報告書を受け取れるのであれば、それも併せて保管しておきましょう。


12.不動産オーナーが工事前に確認したい5項目

高額な修繕・リフォームを予定している場合には、発注前に次の5つを確認してみてください。

不動産オーナーが工事前に確認したい5項目

① 工事の目的は何か

劣化部分を直すのか、それとも建物を改良するのか。


② 工事前と工事後で何が変わるのか

同等程度のものへの交換なのか、新しい機能が追加されるのか。


③ 見積書の内訳が分かれているか

「改修工事一式」だけになっていないか。


④ 施工前の状態を記録しているか

写真、点検報告書、修繕履歴などを残しているか。


⑤ 金額が大きい場合は発注前に税理士へ確認したか

工事が終わった後では、見積書や工事内容を整理し直すことが難しい場合があります。


この5つを確認するだけでも、修繕費・資本的支出をめぐる税務上の説明力は大きく変わります。


13.「修繕費にすること」だけが目的になってはいけない

ここは、不動産投資を考えるうえで非常に重要なポイントです。

税金だけを考えれば、その年に全額経費にできる修繕費の方が有利に見えます。

しかし、投資として本当に重要なのは、

その工事によって家賃・入居率・修繕コスト・売却価値がどう変わるのか

です。

例えば300万円をかけて設備を改善した結果、

  • 家賃を上げられる

  • 空室期間が短くなる

  • 入居者層が改善する

  • 将来の修繕費が減る

  • 売却時の商品力が高まる

のであれば、資本的支出になったとしても、投資として合理的なケースは十分あります。

反対に、

「今年の税金を減らしたいから修繕費になる工事をする」

という順番で考えると、投資判断を誤る可能性があります。

不動産投資では、

投資として必要な工事を検討する↓修繕費と資本的支出を適切に区分する↓利用できる税務上の取扱いはきちんと利用する

という順番で考えることが重要です。

税引前の投資収益を悪化させてまで節税する意味はありません。


14.まとめ

修繕費と資本的支出を判断するときに重要なのは、工事金額だけではありません。

基本となる考え方は、

修繕費=通常の維持管理・原状回復資本的支出=価値の増加・使用可能期間の延長

です。

そのうえで、

  • 20万円未満

  • おおむね3年以内の周期

  • 60万円未満

  • 前年末・前期末取得価額のおおむね10%以下

といった基準を順番に確認していきます。

また、判定が明らかでない金額については、一定の場合に30%・10%基準によって修繕費と資本的支出を区分する方法もあります。

特に注意していただきたいのは、60万円・10%基準が、

修繕費か資本的支出か明らかでない場合に利用する基準

だという点です。

一方で、

「金額が大きいから」「新品へ交換したから」「以前より少し性能が上がったから」

という理由だけで、必要以上に資本的支出として処理する必要もありません。

事実関係から修繕費として合理的に説明できるものについては、適切に修繕費として処理することが大切です。

そして、実務上最も効果があるのは、

工事後ではなく、工事前から税務を考えること

です。

高額な外壁工事、屋上防水、大規模修繕、退去時リフォームなどを予定している場合には、発注前に、

  • 見積書

  • 現在の設備仕様

  • 改修後の仕様

  • 施工前写真

  • 工事の目的

を整理したうえで税理士へ相談してみましょう。


参考資料

志田宏樹

監修者

志田 宏樹

公認会計士・税理士・宅地建物取引士


監査法人で上場企業等の監査業務に従事した後、投資用不動産会社で財務責任者として勤務。金融機関対応、資金調達、会計実務、税務調査対応等を経験。現在はアポロ税理士法人の代表社員として、不動産オーナーや企業経営者に対し、税務・財務・融資・不動産に関する支援を行っている。


専門分野:不動産税務/不動産法人化/融資・資金調達/財務/相続・資産承継

[詳しいプロフィールを見る →]


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