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不動産所得の確定申告で必要な資料一覧

  • 8月14日
  • 読了時間: 27分
白いデスクの不動産事務用品と模型建物

不動産所得の確定申告では、家賃収入だけでなく、管理費、修繕費、借入金、固定資産税、減価償却などを確認するための資料が必要です。

しかし、初めて確定申告をする方や、税理士への依頼を検討している方の中には、次のような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

  • 管理会社の年間収支報告書だけで足りるのか

  • 領収書をどこまで整理すればよいのか

  • 物件を購入した年は何を準備すればよいのか

  • 資料がすべてそろっていなくても依頼できるのか

結論からいうと、すべての資料を完璧に整理してから税理士へ相談する必要はありません。

ただし、物件を購入した年や売却した年、大規模な修繕を行った年などは、通常の年よりも必要資料が増えます。資料が不足していると、正しい申告ができないだけでなく、追加の確認や資料の再取得に時間がかかることもあります。

この記事では、不動産所得の確定申告で必要となる資料を、毎年必要なものと、特定の年に必要となるものに分けて解説します。

なお、この記事でいう「必要な資料」には、税務署へ申告書と一緒に提出する書類だけでなく、税理士が収入や経費を確認し、申告書を作成するために使用する資料も含まれています。

1.不動産所得の確定申告で必要な資料一覧

不動産所得は、家賃や更新料などの総収入金額から、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などの必要経費を差し引いて計算します。

そのため、確定申告では「収入を確認する資料」と「必要経費を確認する資料」の両方が必要です。

1-1.まず準備したい基本資料

区分

主な資料

前年の申告関係

前年の確定申告書、青色申告決算書または収支内訳書

家賃収入

管理会社の年間収支報告書、通帳、賃貸借契約書

必要経費

領収書、請求書、管理会社の明細

借入金

借入金返済予定表、年間返済明細、残高証明書

税金

固定資産税・都市計画税の納税通知書、課税明細書

保険

火災保険・地震保険の契約書、保険料明細

購入関係

売買契約書、決済精算書、購入諸費用の領収書

売却関係

売却時の売買契約書、決済精算書、譲渡費用の領収書

その他

源泉徴収票、各種控除証明書、他の所得に関する資料

前年も不動産所得を申告している場合は、確定申告書だけでなく、青色申告決算書または収支内訳書、固定資産台帳、減価償却明細も準備しましょう。

これらには、建物や設備の取得価額、前年までの減価償却費、未償却残高など、当年へ引き継ぐ情報が記載されています。

借入金残高は前年の貸借対照表に記載されている場合もありますが、記載がないケースもあります。金融機関の返済予定表や年間返済明細も準備しましょう。


1-2.必要資料は3つに分けて考える

必要資料は、次の3つに分けると整理しやすくなります。

①毎年必要となる資料

  • 管理会社からの年間収支報告書

  • 家賃入金口座の通帳・取引明細

  • 必要経費の領収書・請求書

  • 借入金返済予定表・返済明細

  • 固定資産税・都市計画税の資料

  • 火災保険・地震保険の資料

  • 前年の確定申告書


②購入・売却・工事などがあった年に必要な資料

  • 不動産売買契約書

  • 決済精算書

  • 仲介手数料の領収書

  • 登記費用・司法書士報酬の明細

  • 大規模修繕や設備交換の見積書・請求書

  • 売却に伴う測量費、解体費、立退料などの資料


③必要に応じて確認する資料

  • 賃貸借契約書・更新契約書

  • 滞納家賃の明細

  • 敷金・保証金の管理資料

  • 入退去に関する精算書

  • 管理会社変更時の精算資料

  • 相続や贈与により物件を取得した場合の資料


すべての資料を毎年税理士へ提出するとは限りません。

例えば、管理会社の年間収支報告書で収入内容を確認できる場合には、賃貸借契約書を提出しなくてもよいことがあります。

2.家賃収入を確認するために必要な資料

家賃収入を正しく申告するためには、実際に振り込まれた金額だけでなく、契約上発生した家賃、礼金、更新料、共益費などを確認する必要があります。


2-1.管理会社の年間収支報告書

管理会社へ管理を委託している場合は、年間収支報告書が家賃収入を確認する中心的な資料になります。

年間収支報告書では、主に次の項目を確認します。

  • 毎月の家賃

  • 共益費

  • 礼金

  • 更新料

  • 管理手数料

  • 入居者募集費・広告料

  • 修繕費・原状回復費

  • オーナーへの送金額

  • 滞納家賃

  • 敷金の入出金

注意したいのは、管理会社から実際に振り込まれた金額が、そのまま税務上の家賃収入になるとは限らない点です。

例えば、家賃10万円から管理手数料5,000円が差し引かれ、9万5,000円が振り込まれた場合、通常は9万5,000円だけを収入にするのではありません。

基本的には、家賃収入10万円と管理手数料5,000円を、それぞれ収入と必要経費に分けて処理します。

管理会社の年間収支報告書を受け取ったら、管理会社からの振込額だけでなく、差引前の家賃や経費の内訳を確認しましょう。


2-2.家賃入金口座の通帳・取引明細

家賃入金口座の通帳やインターネットバンキングの取引明細は、自主管理の場合だけでなく、管理会社へ管理を委託している場合にも必要となることがあります。

主に次の内容を確認します。

  1. 管理会社からの入金額

  2. 入居者から直接入金された家賃

  3. 管理会社を通さずに支払った修繕費など

  4. 入金時期のずれ

  5. 管理会社を変更した際の精算

  6. 不動産に関係しない入出金

  7. 借入金の返済額

管理会社の年間収支報告書が十分に整備され、入金額とも一致していれば、税理士が通帳の確認をしない場合もあります。

ただし、申告内容の確認や入金漏れの防止に必要となるため、通帳や取引明細は保存しておき、税理士から依頼があった場合に提出できるようにしましょう。

自主管理の場合は、管理会社の収支報告書がありません。そのため、通帳、賃貸借契約書、家賃管理表などの重要性がより高くなります。


2-3.賃貸借契約書・更新契約書

賃貸借契約書や更新契約書では、次の内容を確認します。

  1. 毎月の賃料

  2. 共益費・管理費

  3. 礼金

  4. 更新料

  5. 敷金・保証金

  6. 敷金等の返還条件

  7. フリーレントの有無

  8. 契約期間

  9. 賃料改定日

  10. 解約日

家賃や共益費は、原則として契約上の支払日などに基づいて収入計上時期を判断します。そのため、年末時点で未入金の家賃があっても、契約内容によってはその年の収入として計上する必要があります。

「入金された金額だけを集計すればよい」とは限らないため、滞納がある場合は特に注意が必要です。


2-4.敷金・礼金・更新料・滞納家賃の資料

不動産の賃貸に伴って受け取る金銭は、名称だけで税務上の取扱いが決まるわけではありません。

一般的には、次のように整理します。

  • 礼金:原則として収入

  • 更新料:原則として収入

  • 共益費:原則として収入

  • 敷金・保証金:返還義務がある間は通常、預り金

  • 返還しないことが確定した敷金等:その時点で収入

  • 滞納家賃:契約内容により未収収益として収入計上が必要な場合がある

敷金の返還条件や更新料の有無が分かる契約書、入退去時の精算書、滞納家賃の一覧なども保存しておきましょう。

3.必要経費を確認するために必要な資料

不動産所得の必要経費にできるのは、不動産収入を得るために直接必要となる費用です。

プライベートな支出は必要経費になりません。また、不動産賃貸と私生活の両方に関係する支出は、業務に必要な部分を合理的に区分する必要があります。


3-1.管理費・管理手数料・入居者募集費

次の資料を準備します。

  • 管理会社の月次・年間収支報告書

  • 管理委託契約書

  • 管理手数料の明細

  • 入居者募集費・広告料の請求書

  • 賃貸仲介会社からの請求書

  • サブリース契約書

  • 清掃費や巡回費の請求書

管理会社の年間収支報告書に管理手数料や修繕費が記載されている場合は、同じ支出を別の領収書から二重に計上しないよう注意しましょう。


3-2.修繕費・原状回復費・設備交換費

修繕や設備交換を行った場合は、領収書だけでなく、工事内容が分かる資料も必要です。

準備する資料は次のとおりです。

  • 工事の見積書

  • 請求書

  • 領収書

  • 工事明細

  • 工事請負契約書

  • 修繕箇所が分かる資料

  • 工事前後の写真

  • 設備の型番や製品名が分かる資料

修繕に関する支出は、すべて支払った年の必要経費になるとは限りません。

通常の維持管理や壊れた箇所を元の状態に戻すための支出は、原則として修繕費になります。

一方、建物の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりする支出は「資本的支出」とされ、固定資産として計上したうえで、減価償却を通じて複数年に分けて必要経費にします。分かりやすくいうと、支払った年に全額を経費にするのではなく、一定期間に配分する処理です。

例えば、次のような工事は内容を慎重に確認する必要があります。

  • 外壁塗装

  • 屋上防水工事

  • 給湯器・エアコンの交換

  • 間取り変更

  • キッチン・浴室の全面交換

  • エレベーターの更新

  • 耐震補強工事

  • 省エネ性能を高める改修

請求書に「工事一式」としか書かれていない場合は、修繕費か資本的支出かを判断できないことがあります。できるだけ詳しい見積書や工事明細も保管しましょう。


3-3.固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税については、次の資料を準備します。

  1. 納税通知書

  2. 課税明細書

  3. 領収書または口座振替の記録

課税明細書には、土地と建物の所在地、評価額、税額などが記載されています。

複数物件を所有している場合、どの物件にいくらの固定資産税が課されているかを確認するため、納付書だけでなく課税明細書も保管しておきましょう。

なお、物件の購入時に売主へ支払った「固定資産税・都市計画税精算金」は、購入後に市区町村へ支払う固定資産税とは税務上の取扱いが異なります。

購入時の固定資産税等精算金は、原則として購入代価の一部として土地・建物の取得価額に算入され、支払った年に全額を必要経費にすることはできません。


3-4.火災保険料・地震保険料

次の資料を準備します。

  1. 保険証券

  2. 保険契約書

  3. 保険期間が分かる資料

  4. 保険料の領収書・支払明細

  5. 地震保険料控除証明書

複数年分の保険料を一括で支払っている場合は、契約期間に応じた処理が必要になることがあります。そのため、支払額だけでなく、保険の開始日、終了日、補償対象物件を確認できる資料も準備しましょう。

なお、賃貸専用物件に係る地震保険料は、通常、不動産所得の必要経費として確認します。

所得控除である地震保険料控除の対象は、原則として、本人または生計を一にする親族が常時居住する家屋などに係る保険です。自宅併用物件などは、居住用部分と賃貸用部分を区分し、同じ保険料を必要経費と所得控除の双方で重複して差し引かないよう注意が必要です。


3-5.その他の必要経費

不動産賃貸に関係する支出として、次のようなものがあります。

  • 税理士報酬

  • 司法書士報酬

  • 振込手数料

  • 交通費

  • 通信費

  • 不動産投資に関する書籍代

  • セミナー参加費

  • 物件確認のための宿泊費

  • 消耗品費

  • 会計ソフトの利用料

  • 不動産賃貸に関するコンサルティング費用

ただし、支払ったものがすべて必要経費になるわけではありません。

例えば、家族旅行を兼ねた物件確認の交通費や、私用にも使っている携帯電話料金などは、不動産賃貸に直接必要な部分だけを合理的に区分する必要があります。

これを「家事按分」といいます。分かりやすくいうと、仕事用と私用が混ざっている支出を、合理的な基準で分けることです。

税務調査などで説明できるよう、按分割合を決めた根拠も残しておきましょう。

4.借入金に関して必要な資料

金融機関から融資を受けて物件を購入している場合は、借入金の元金と支払利息を分けて確認する必要があります。


4-1.借入金返済予定表

金融機関から交付された借入金返済予定表を準備します。

返済予定表では、主に次の5項目を確認します。

  1. 元金返済額

  2. 支払利息

  3. 借入残高

  4. 金利

  5. 返済期間

借入金の返済額全体が必要経費になるわけではありません。

元金返済は、借りたお金を返しているだけであるため、原則として必要経費になりません。一方、不動産賃貸のための借入金に係る支払利息は、原則として必要経費になります。

例えば、年間返済額が240万円で、その内訳が元金180万円、利息60万円であれば、必要経費になるのは利息60万円のみです。


4-2.年間取引明細・返済実績表

次のような取引があった場合は、当初の返済予定表だけでは実際の支払利息を正確に確認できないことがあります。

  • 繰上返済

  • 借換え

  • 金利変更

  • 返済条件の変更

  • 元金据置期間の設定

  • 延滞

  • 融資の追加実行

特に変動金利の場合は金利変更の可能性があるため、毎年最新の書類を確認して申告するようにしましょう。


4-3.融資時に支払った手数料

物件の購入時には、次のような融資関係費用が発生することがあります。

  • 融資事務手数料

  • 保証料

  • 印紙代

  • 不動産担保の設定費用

  • 抵当権設定に関する司法書士報酬

  • 金融機関へ提出する鑑定費用

これらは、支出の内容や契約条件により処理方法が異なります。

請求書、金銭消費貸借契約書、融資明細、保証委託契約書などをまとめて保存しましょう。

5.物件を購入した年に追加で必要な資料

物件を購入した初年度は、通常の年より必要資料が多くなります。

初年度に決めた土地・建物の金額、取得価額、耐用年数などは、その後の減価償却費や売却時の譲渡所得にも影響します。

そのため、購入初年度の処理は特に重要です。


5-1.不動産売買契約書

不動産売買契約書では、主に次の内容を確認します。

  1. 売買代金

  2. 土地と建物の金額

  3. 契約日

  4. 引渡日

  5. 売主・買主

  6. 手付金

  7. 付帯設備の内容

  8. 特約事項


5-2.決済精算書

決済時の精算書では、次の項目を確認します。

  1. 残代金の精算金

  2. 固定資産税・都市計画税精算金

  3. 家賃の引継額

  4. 敷金・保証金の引継額

  5. 管理費・修繕積立金

  6. 共益費

  7. 水道光熱費

  8. その他の日割精算額

賃貸中の物件を購入した場合は、引渡日前後の家賃や敷金が売主と買主の間で精算されます。

これらは、単に購入代金の一部として処理するものと、家賃収入や預り金として処理するものに分かれるため、精算書の準備が必要です。


5-3.購入諸費用の領収書

物件購入時に支払った次の資料を準備します。

  • 仲介手数料

  • 登記費用

  • 司法書士報酬

  • 融資事務手数料

  • 保証料

  • 印紙代

  • 火災保険料

  • 固定資産税等精算金

  • 建物状況調査費用

  • 不動産鑑定費用

  • 不動産取得税(購入から半年後に通知が来るケースが多い)

購入諸費用は、すべてを購入した年の必要経費にできるわけではありません。

例えば、賃貸用の土地・建物を購入する際に支払った仲介手数料は、土地と建物の取得価額に配分します。建物に対応する部分は、建物の減価償却を通じて必要経費になりますが、土地に対応する部分は土地の取得価額となります。

そのため、購入時の領収書や請求書は、税理士が個別に内容を確認できるよう、一式まとめて提出しましょう。


5-4.土地と建物の金額を確認する資料

土地は減価償却できませんが、建物や建物附属設備は減価償却の対象です。

そのため、売買代金を土地と建物にどのように区分するかが重要です。土地は、時間の経過によって価値が減少する資産とはされておらず、減価償却資産には含まれません。

土地と建物の金額を確認する資料として、次のものがあります。

  • 不動産売買契約書

  • 固定資産税評価証明書

  • 固定資産税の課税明細書

  • 建物に係る消費税額が分かる資料

  • 不動産鑑定評価書

  • 建物請負契約書

  • 売主が作成した土地・建物の内訳資料

土地と建物の区分方法は、契約内容や物件の状況により異なります。

売買契約書に内訳がない場合や、契約書上の区分が不自然な場合は、固定資産税評価額などを参考に合理的な区分を検討します。


5-5.建物の構造・築年数が分かる資料

減価償却費を計算するためには、建物の構造、取得価額、築年数、使用開始時期などを確認する必要があります。

次の資料を準備します。

  • 登記事項証明書

  • 建築確認済証

  • 検査済証

  • 建物図面

  • 竣工図

  • 建築請負契約書

  • 設備明細

  • リフォーム工事の明細

中古物件の場合は、法定耐用年数の全部を経過しているか、耐用年数の一部を経過しているかによって、税務上の耐用年数の計算が変わることがあります。

また、建物本体と、給排水設備、電気設備、空調設備などの建物附属設備を分けて処理する場合には、設備の金額が分かる資料も必要です。


5-6.相続や贈与で取得した物件は過去の申告資料も確認する

相続や贈与で取得した建物は、売買によって取得した中古物件と同じ方法で減価償却費を計算できるとは限りません。

相続などにより取得した減価償却資産については、原則として、前所有者の取得価額、耐用年数、経過年数、未償却残高を引き継ぎます。通常の中古物件で用いられる簡便法によって、相続時点から耐用年数を計算し直すことはできません。

そのため、次の資料も準備します。

・被相続人や贈与者の過去の確定申告書

・青色申告決算書または収支内訳書

・固定資産台帳

・減価償却明細

・当初の売買契約書や建築請負契約書

・相続税申告書や遺産分割協議書

過去の取得価額や減価償却の状況が分からない場合は、資料の再取得や事実関係の確認に時間がかかるため、早めに税理士へ相談することが重要です。

6.物件を売却した年に追加で必要な資料

賃貸物件を売却した場合は、賃貸期間中の不動産所得とは別に、土地・建物の譲渡所得を計算します。

土地や建物の譲渡所得は、給与所得や不動産所得などと区分する分離課税ですが、確定申告の手続自体は他の所得と一緒に行います。


次の資料を準備します。

  • 売却時の不動産売買契約書

  • 決済精算書

  • 仲介手数料の請求書・領収書

  • 売買契約書の印紙代

  • 測量費

  • 建物解体費

  • 立退料

  • 登記費用

  • 司法書士報酬

  • 売却のために直接行った工事の資料

売却時に買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金は、譲渡所得の収入金額に含まれるものとして取り扱われます。


7.不動産所得以外の申告に必要な資料

税理士へ確定申告を依頼する場合、不動産所得の資料だけでは申告書全体を完成できないことがあります。

給与や副業など、他の所得に関する資料や、所得控除に関する資料も準備しましょう。


7-1.他の所得に関する資料

主に次の資料があります。

  • 給与所得の源泉徴収票

  • 副業収入に関する資料

  • 事業所得に関する決算書

  • 公的年金等の源泉徴収票

  • 配当金の支払通知書

  • 株式等の年間取引報告書

  • 暗号資産の取引明細

  • 一時所得に関する資料

  • 雑所得に関する資料

  • 生命保険の満期金・解約返戻金の資料

会社員の方が不動産投資をしている場合は、勤務先から交付された源泉徴収票も忘れずに提出しましょう。


7-2.所得控除・税額控除に関する資料

主に次の資料があります。

  • 生命保険料控除証明書

  • 地震保険料控除証明書

  • 国民年金保険料控除証明書

  • 国民健康保険料の支払額が分かる資料

  • 医療費通知・医療費の明細

  • 寄附金受領証明書

  • ふるさと納税の資料

  • 住宅ローン控除関係資料

  • 小規模企業共済等掛金控除証明書

  • iDeCoの掛金証明書

  • 扶養親族に関する情報

  • 障害者控除等に関する資料

年末調整で処理済みの控除もありますが、確定申告書の作成時に内容を確認するため、源泉徴収票と併せて提出するのが確実です。

8.青色申告をする場合に必要な帳簿・資料

不動産所得のある方は、青色申告か白色申告かにかかわらず、収入や必要経費に関する取引を記帳し、帳簿や請求書、領収書などを一定期間保存する必要があります。


8-1.準備・作成する主な帳簿

不動産賃貸の状況や記帳方法に応じて、主に次の帳簿を作成・保存します。

  1. 仕訳帳

  2. 総勘定元帳

  3. その他補助元帳

  4. 家賃台帳

  5. 固定資産台帳

  6. 敷金・保証金の管理表

すべての帳簿を依頼者自身がExcelなどで作成してから税理士へ渡さなければならないわけではありません。

税理士へ記帳も含めて依頼する場合は、通帳、管理会社の収支報告書、請求書、領収書などの根拠資料を共有しましょう。ただし、記帳や資料整理を税理士へ依頼する場合は、申告書の作成報酬とは別に料金がかかることがあります。


8-2.不動産所得の青色申告決算書

前年に青色申告をしている場合は、前年の青色申告決算書を準備します。

前年の決算書では、主に次の項目を確認します。

  • 建物・設備の取得価額

  • 減価償却費

  • 未償却残高

  • 借入金残高

  • 未収家賃

  • 敷金・保証金

  • 事業主貸・事業主借

  • 前年末の貸借対照表残高

減価償却費は、建物や設備の取得価額を一定の方法で各年の必要経費に配分する手続です。物件を購入した年に全額を経費にするものではありません。

前年の固定資産台帳や減価償却明細がないと、当年の減価償却費を正しく計算できないことがあります。


8-3.青色申告特別控除を受ける場合の注意点

青色申告特別控除の金額や要件は、申告する年分、記帳方法、不動産貸付けの規模、e-Taxの利用状況、電子帳簿の保存方法によって異なります。

令和8年分までは10万円、55万円、65万円の区分ですが、令和9年分以後は10万円、65万円、75万円の区分に見直されます。

令和9年分以後に65万円または75万円の控除を受ける場合は、複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書の作成、e-Taxによる期限内申告、電子帳簿の保存状況などを確認する必要があります。

また、事業的規模の不動産貸付けで前々年の不動産収入が1,000万円を超える場合、簡易簿記による10万円控除を受けられないことがあります。

制度改正後の要件は複雑なため、適用を検討する場合は、申告年分と記帳・保存方法を税理士へ確認しましょう。

9.資料がそろっていなくても税理士に依頼できる?

結論として、すべての資料がそろう前でも税理士へ相談できます。

むしろ、自分ですべて整理してから相談しようとして申告期限直前になるよりも、早めに相談し、不足資料を確認した方がスムーズです。


9-1.すべてそろう前でも相談できる

税理士へ最初に相談する時点では、手元にある資料を提出し、次のような情報を伝えれば、必要資料を案内してもらえます。

  • 所有している物件数

  • 物件を購入した時期

  • 管理委託か自主管理か

  • 借入金の有無

  • その年に購入・売却した物件の有無

  • 大規模修繕の有無

  • 前年の申告方法

  • 現在そろっている資料


特に、次の場合は早めの相談をおすすめします。

  1. 初めて不動産所得を申告する場合

  2. その年に物件を購入した場合

  3. 物件を売却した場合

  4. 大規模修繕を行った場合

  5. 管理会社を変更した場合

  6. 相続・贈与で物件を取得した場合

  7. 過去の確定申告内容に不安がある場合

  8. 複数物件を所有している場合


9-2.資料を紛失した場合の対応

資料を紛失していても、再発行や代替資料の取得ができることがあります。

紛失した資料

主な対応方法

管理会社の収支報告書

管理会社へ再発行を依頼

借入金返済予定表

金融機関へ再発行を依頼

通帳

金融機関から取引明細を取得

固定資産税通知書

市区町村で評価証明書等を取得

登記事項証明書

法務局で取得

売買契約書

仲介会社、売主、司法書士などへ相談

火災保険証券

保険会社・保険代理店へ再発行を依頼

前年の申告書

e-Tax、税務署、前年の税理士などから確認

資料の再発行には時間がかかることがあります。紛失に気付いた段階で、早めに税理士へ相談しましょう。


9-3.領収書がない場合は経費にできない?

領収書がないからといって、直ちに必要経費にできないと決まるわけではありません。

次の資料から、支払先、日付、金額、内容を確認できる場合があります。

  1. 銀行振込明細

  2. クレジットカード明細

  3. 請求書

  4. 納品書

  5. 契約書

  6. メール

  7. 工事報告書

  8. 出金伝票

ただし、クレジットカード明細に店舗名と金額しか記載されておらず、何を購入したのか分からない場合は、不動産賃貸に必要な支出であることを説明できないことがあります。

領収書がない場合は、請求書、注文履歴、メールなど、取引内容が分かる資料をできるだけ集めましょう。

10.税理士へ資料を渡すときの整理方法

税理士へ資料を渡す方法は、事務所によって異なります。

紙での郵送・持参に加え、PDF、Excel、会計ソフト、クラウドストレージなどを利用する事務所も増えています。


10-1.資料の提出方法は税理士事務所によって異なる

一般的な提出方法には、次のものがあります。

  1. 紙資料の郵送・持参

  2. スマートフォンで撮影した画像を共有

  3. Excelにまとめ共有

  4. クラウド会計ソフトの共有

  5. クラウドストレージを通じて共有


税理士へ依頼する前に、次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 紙で提出できるか

  • 原本とコピーのどちらを提出するか

  • PDFや画像データでよいか

  • Excelで集計してよいか

  • 指定のクラウドストレージがあるか

  • 領収書をどの程度整理する必要があるか

  • 記帳料や資料整理料が別途かかるか


10-2.複数物件がある場合は物件ごとに分ける

複数物件を所有している場合は、資料を物件ごとに分けましょう。

例えば、次のように整理します。

  • Aマンション

  • Bアパート

  • C駐車場

  • 全物件に共通する経費

  • 対象物件が分からない資料

物件別に整理されていれば、家賃収入、修繕費、借入金などを物件ごとに確認しやすくなります。

物件名だけで分かりにくい場合は、所在地も記載しておくとよいでしょう。


10-3.領収書・請求書は内容ごとに分ける

領収書や請求書は、次のように内容が近いものごとに分けます。

  1. 修繕・工事関係

  2. 管理会社関係

  3. 税金関係

  4. 保険関係

  5. 借入金関係

  6. 交通費・通信費

  7. 専門家報酬

  8. その他

依頼者が、税務上の正確な勘定科目まで判断する必要はありません。

例えば、修繕費になるのか、資産計上して減価償却するのか分からない工事は、「修繕・工事関係」としてまとめれば問題ありません。


10-4.Excelにまとめる場合の記載項目

Excelで経費をまとめる場合は、次の6項目を記載すると分かりやすくなります。

  1. 日付

  2. 支払先

  3. 支払内容

  4. 金額

  5. 対象物件

  6. 支払方法

記載例は次のとおりです。

日付

支払先

内容

金額

対象物件

支払方法

2026年4月10日

○○工務店

給湯器交換

88,000円

Aマンション

銀行振込

2026年5月15日

○○市

固定資産税第1期

120,000円

Aマンション

口座振替

Excelにまとめて提出しても、領収書や請求書などの根拠資料が不要になるわけではありません。

不動産所得を生ずべき業務を行う方には、帳簿だけでなく、業務に関して作成または受領した請求書や領収書などを保存する義務があります。


10-5.電子データで受け取った資料は電子データのまま保存する

メールに添付されたPDFの請求書や、ウェブサイトからダウンロードした領収書など、電子的に受け取った取引データは、原則として電子データのまま保存する必要があります。

印刷した紙だけを残し、元のPDFを削除する方法では、電子取引データの保存要件を満たさないことがあります。

一方、紙で受け取った領収書や請求書は、原則として紙で保存します。

一定の要件を満たすスキャナ保存を行っている場合を除き、単にスマートフォンで撮影したりPDF化したりしただけで、紙の原本を処分できるとは限りません。


10-6.未整理の場合は追加料金がかかることがある

次のような状態で資料を提出すると、通常の申告業務とは別に、資料の分類や集計作業が必要になります。

  • 複数年分の領収書が混在している

  • 複数物件の資料が分けられていない

  • 私的な領収書が大量に含まれている

  • 同じ資料が紙、PDF、画像で重複している

  • 領収書が箱や袋にそのまま入っている

  • 日付や支払内容が確認できない

  • 通帳のどの入出金が不動産関係か分からない

税理士事務所によっては、資料整理や記帳作業に別途料金がかかることがあります。

依頼前に、どの程度まで整理すれば基本料金に含まれるのかを確認しておきましょう。

当法人では、原則としてBoxを利用して資料をご提出いただいています。管理会社の収支報告書、通帳明細、借入金返済予定表、固定資産税関係資料、領収書などを、PDF、画像データまたはExcelでご提出いただけます。紙での提出も状況に応じて受け付けていますが、原本ではなくコピーをお送りください。領収書や請求書などの原本は、依頼者ご自身で法定期間保存していただく必要があります。原本の紛失を防ぐ観点から、当法人ではお預かりした紙資料の返送は原則として行っていません。紙資料は、物件別・内容別に一定程度整理したうえでご提出ください。税務上の正確な勘定科目まで判断していただく必要はありませんが、複数年、複数物件、私的支出などが混在し、資料の分類や集計から必要となる場合には、資料の量や作業内容に応じて別途料金をご案内することがあります。

11.税理士への依頼から確定申告完了までの流れ

税理士へ依頼する場合の一般的な流れは、次のとおりです。


11-1.問い合わせ・初回相談

最初に、次の内容を税理士へ伝えます。

  1. 所有物件数

  2. 物件の種類

  3. 管理委託か自主管理か

  4. 前年までの申告状況

  5. 青色申告か白色申告か

  6. 購入・売却の有無

  7. 大規模修繕の有無

  8. 借入金の有無

  9. 資料の整理状況

  10. 申告期限までの期間

前年の確定申告書がある場合は、初回相談時に提出すると、税理士が必要作業を把握しやすくなります。


11-2.必要資料の案内

所有物件やその年の取引内容に応じて、税理士から必要資料の一覧が案内されます。

購入年、売却年、相続で取得した年などは、通常年とは必要資料が異なります。


11-3.資料の提出

税理士事務所が指定する方法で資料を提出します。

提出前には、できる範囲で次の整理をしておきましょう。

  • 年度を分ける

  • 物件を分ける

  • 支出内容を分ける

  • 重複資料を除く

  • 不明な取引にメモを付ける


11-4.不足資料・不明点の確認

税理士が資料を確認し、不足している資料や取引内容について質問します。

不明点への回答が遅れると、申告書の完成も遅れるため、税理士から連絡があった場合は、早めに回答しましょう。


11-5.申告内容・納税額の確認

申告前には、次の内容を確認します。

  1. 家賃収入

  2. 必要経費

  3. 減価償却費

  4. 不動産所得の金額

  5. 所得税・復興特別所得税の見込額

  6. 住民税への影響

  7. 主な税務処理

  8. 前年との増減

  9. 納税方法・納期限

不動産所得が赤字の場合は、給与所得などとの損益通算の可否も確認します。


11-6.申告書の提出・納税

申告内容に問題がなければ、税理士が電子申告を行います。

申告書を提出しただけでは、納税は完了しません。

振替納税、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマートフォンアプリ納付など、案内された方法で納税します。

12.不動産所得の確定申告でよくある質問

12-1.管理会社の年間収支報告書だけで申告できますか?

年間収支報告書に、家賃、共益費、礼金、更新料、管理手数料、修繕費などが漏れなく記載されていれば、家賃収入と管理会社経由の経費を確認する中心資料になります。

ただし、管理会社を通さない入金や支出、固定資産税、借入金利息、火災保険料、税理士報酬などは記載されていないことがあります。

そのため、年間収支報告書だけで必ず申告できるとは限りません。


12-2.管理会社へ委託していても通帳は必要ですか?

必要になることがあります。

管理会社からの送金額、直接入金された家賃、管理会社を通さずに支払った費用などを確認するためです。

管理会社の年間収支報告書と入金額が一致し、他の入出金も明確な場合には、毎年すべての通帳明細を提出しないケースもありますが、税理士から求められたときに提出できるよう保存しておきましょう。


12-3.領収書はすべて税理士へ渡す必要がありますか?

税理士が記帳や経費の判定まで行う場合は、不動産賃貸に関係する領収書や請求書を原則として提出します。

Excelで支出一覧を作成する方法もありますが、税務上の処理や取引内容を確認するため、領収書や請求書が必要になることがあります。

なお、税理士にコピーやデータを提出しても、依頼者自身の保存義務がなくなるわけではありません。


12-4.修繕費と資本的支出はどのように分けますか?

通常の維持管理や原状回復のための支出は、原則として修繕費になります。

一方、建物の使用可能期間を延ばしたり、資産価値を高めたりする支出は、資本的支出として固定資産に計上し、減価償却します。

工事の名称ではなく、実際の工事内容によって判断します。

判断のため、領収書だけでなく、見積書、工事明細、写真なども提出しましょう。


12-5.不動産所得が赤字でも確定申告は必要ですか?

申告義務の有無は、給与所得など他の所得や各種条件によって異なります。

ただし、不動産所得の赤字は、一定の場合に給与所得などの黒字と損益通算できるため、確定申告をすることで所得税が還付されることがあります。

一方、不動産所得の赤字のうち、土地を取得するための借入金利息に対応する部分などは、損益通算できない場合があります。

赤字だから申告しなくてよいと自己判断せず、税理士に確認しましょう。


12-6.物件を購入した年はいつ税理士に相談すべきですか?

できるだけ早めに相談することをおすすめします。

物件購入時の土地・建物の区分、仲介手数料、固定資産税等精算金、借入金関係費用などの処理は、その後の減価償却費や売却時の譲渡所得にも影響します。

確定申告の直前ではなく、可能であれば物件の購入後、資料がそろった段階で相談するとスムーズです。

13.まとめ|資料が完全にそろう前でも早めに相談を

不動産所得の確定申告では、主に次の資料が必要です。

  1. 家賃収入を確認する資料

  2. 必要経費を確認する資料

  3. 借入金・支払利息を確認する資料

  4. 固定資産税・保険料に関する資料

  5. 減価償却を計算するための資料

  6. 給与所得や所得控除に関する資料

管理会社へ管理を委託している場合でも、通帳や賃貸借契約書が必要になることがあります。

また、物件を購入した年や売却した年には、売買契約書、決済精算書、仲介手数料の領収書など、通常年とは異なる資料も必要です。

資料が不足している場合でも、すべてそろうまで税理士への相談を待つ必要はありません。

早めに相談すれば、不足資料や再取得が必要な資料を確認し、申告期限に向けて順番に準備できます。

アポロ税理士法人では、不動産オーナーの確定申告について、必要資料の確認から申告書の作成まで対応しています。

管理会社の年間収支報告書だけで申告できるか分からない方、購入初年度や売却年の申告でお困りの方、資料がそろっているか不安な方もご相談ください。



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