区分?一棟?不動産投資の分かれ道
- ttsukigata
- 6月2日
- 読了時間: 8分
不動産投資について情報を集め始めると出てくるテーマ。それが「区分投資」か「一棟投資」か、、、
区分投資・・・マンションの一室などを買うこと
一棟投資・・・マンションやアパートを一棟買うこと
一棟買うなんてできるの?と思われている方も多いかもしれません。
きちんと計画することで一棟買いによる不動産投資も可能になります。一棟所有による投資には大きなメリットがありますので不動産投資を検討する際には一棟所有も視野に入れて検討することをお勧めします。
このコラムでどちらが自分に合っているか、メリット・デメリットはどういうことがあるのかを把握して不動産投資戦略の糧にしてもらえたらと思います。
「区分投資」・・・少額で始める不動産投資
不動産投資をこれから検討される方の中には区分所有による投資をまず思い浮かべる方が多いかもしれません。職場などに営業電話がかかってきたという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。では区分所有による投資の特徴はどのようなもなのか、メリットとデメリットを確認してみましょう。

区分投資のメリット
1.少額から始めることができる
区分所有による投資の最大のメリットいえるかかもしれません。中古マンションの一室であれば23区内で1.500万円程度から、郊外であれば500万円程度からでも購入できる物件がでることもあります。条件が合えば融資を活用して数百万円の自己資金で投資をはじめることができます。
2.管理が楽で手間がかからない
区分所有の場合は所有している基本的に専有部分の管理のみなります。廊下、エレベーターなどの共有部分の管理は必要ありません。外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕の計画を立てる必要がありません。賃借人などの管理については管理会社との契約などによって変わります。
3.流動性が高く売却しやすい
流動性とは売りやすさを意味します。1で挙げた少額から始められることと関連します。次の買い手の方も買いやすいため売りやすいことになります。成約事例も多いことから価格の比較や値付けもしやすいという特徴があります。
区分投資のデメリット
1.収益性が低い
区分所有による投資は2つの観点で収益性が低くなりやすいと言えます。1つ目は1室での運用なので絶対金額として収益が低くなりがちです。2つ目は空室になると家賃収入は0円になることです。退去後に比較的すぐ次の住人が決まっても1~2か月は賃料収入がないといったことも考えられます。区分所有の部屋を複数所有していれば回避することもできるデメリット言えます。
2.建物そのものに手を加えられない
メリットで管理が楽というものを挙げましたが、その裏返しになります。部屋はきれいに修繕をしても建物の外壁が汚い、設備に不具合があるといった場合に区分所有者は自身の考えで改善することができません。自分でコントロールできない要因が増えてしまうという点でデメリットと言えます。
3.青色申告特別控除の65万円控除が使えない
青色申告控除の65万円控除は事業的規模でなれければ利用できません。事業的規模かについては「所得税基本通達26-9」というものに示されています。部屋であればおおむね10室以上、戸建てであれば5棟以上とされています。いわゆる「5棟10室」といわれるものです。区分所有で10室以上持っていれば利用することができますが、数部屋の保有では利用が難しいことが多いです。
「一棟投資」・・・経営要素の強い不動産投資
アパートやマンションを一棟購入して投資をすることです。立地、新築、中古、部屋数規模など様々な物件があります。一棟という響きから敷居が高く感じられることも多いですが、一棟投資で資産形成を果たしている方も多くいますのでメリット・デメリットを踏まえて是非検討の選択肢に加えてみてください。

一棟投資のメリット
1.収益性が高い
一棟投資の場合、複数の部屋があるため区分投資に比べて満室時の賃料収入の金額が大きいです。また、空室の部屋があったとしても収入が0になるわけではないので全体として高い収益性を持つことが多いです。
2.建物全体をコントロールできる
一棟投資は文字通り一棟丸ごと所有者のものです。このため外壁や廊下、エレベータなど共用スペースも含めてどれくらいのコストでどの程度修繕するのか、どのような頻度で行うのかを決定することができます。投資では不確実性が多いことは大きなデメリットです。自分でコストやタイミングを決められることはこの不確実性を低くすることができるため大きなメリットと言えます。
3.事業規模の拡大が早い
一棟投資は一般的に投資額が大きいため融資の金額も多くなることが多いです。つまりレバレッジを効かせやすいということになります。区分所有で10室保有するとなると初めから多額の資金がない限りそれなりに期間がかかると思います。一棟投資であれば1回の投資で10室保有となることも少なくありません。また、融資実績つくことで金融機関からの評価が上がり次の投資に向けて動きやすくなることもあります。
4.青色申告特別控除の65万円控除が使いやすい
投資する物件によりますが、一棟で10室以上の物件ということも少なくありません。この場合には青色申告特別控除の65万円控除を利用することができます。不動産所得の場合、経費は一般的に多くないため65万円が所得から控除されることは大きなメリットになります。
一棟投資のデメリット
1.初期投資額が大きい
区分投資に比べてやはり投資額が大きくなることが一般的です。多くの場合は金融機関からの融資を受けて投資をすることになりますが、どれだけ融資を受けられるのかは投資予定の物件や投資家の収入、その他の資産の保有状況などによって変わってきます。フルローンを受けられることもありますが自己資金が必要になることも多く区分所有に比べると自己資金も多く用意する必要があります。
2.管理の手間がかかる
建物全体について責任を負うため管理にも手間やコストがかかります。区分投資であれば基本的に専有している部屋について管理・メンテナンスをすればよいのですが一棟所有となると廊下や階段、エレベーターの不具合などもすべて対応する必要があります。管理会社の活用でオーナーの手間は回避することができますが管理手数料が当然必要になります。
3.流動性が低く売却しにくい
区分投資とは異なり物件の価格が高いことが多いため買い手のハードルが高くなります。また区分所有では次の購入検討者は投資目的だけではなく自己利用目的のこともあるため買い手の候補も多くなることがあります。これに比べて一棟投資は自己利用目的の買い手は少ないため買い手候補が限られてしまいます。
収益性と出口(売却)から見る区分と一棟
不動産投資をする上で大事なことはしっかりと収益が上がることです。
収益性と同じくらい重要なことが出口をどうするかです。出口というのは売却であり終わりをどうするかということです。
出口戦略そのものでもコラムが成立するくらい重要な問題です。出口戦略の詳細は別の機会に書きたいと思いますが、ここでは簡単に収益と出口の関係について触れたいと思います。
売却時の価格はどうなるのか?投資をするのであれば当然気になりますよね。購入時と同じか高い金額で売れれば悩みはしないでしょう。しかし、実際はいくらで売れるのか分かりません。
収益が低いと出口での影響が投資全体に与える影響が大きくなりやすいと言えます。投資期間に得た収益を上回る出口での損失があると資産形成どころか資産流出ということになります。

売却金額というのはつまるところ買い手がいくらなら買うのかということです。
需要と供給のバランスの影響、収益性の影響を受けることになります。
収益性が悪い、自己利用目的での購入希望者も少ない、近隣に類似物件の売りがたくさんでているとなると一般的には安くなります。
逆に収益性が良い、人気エリアで購入希望者も多くなかなか売りに出ないとなると高くなるということになります。
ここで区分投資と一棟投資を簡単に比較します。

区分投資は売りやすいという特徴がありますが、収益性が低く土地の持ち分が少ないという面もあります。土地の持ち分が小さいということは建物そのものの価値が影響すること、そして土地そのものの転用ができないことを意味します。
収益性が低いということは売却損の影響を大きく受けることになります。つまり物件そのものの価値が上がれば売りやすいため短期で大きな利益を得る可能性があります。
一棟投資は収益性が高いことから売却損を一定程度吸収できることが多いです。また土地そのものがあるため売却時にそのまま売るのか、更地にするのかなどを選ぶことができます。ただし区分に比べると売却のスピード感は落ちると言えます。
まとめ
区分投資も一棟投資もどちらも投資方法として様々な方が実践しています。どちらが正解とか不正解とかありません。投資である以上収益をあげ資産形成に役立つ必要があります。そのためにはしっかりと投資の特徴を理解しご自身の目的に合った方法を採用するべきです。
このコラムで述べていることは私たちが投資案件に触れる中で感じた一般論のようなものです。個別案件ごとに当然異なることはあると思います。
このコラムの視点が少しでも読者の方の投資に役立てば幸いです。

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